年平均成長率(CAGR)とは?計算式とその考え方

年平均成長率(CAGR)とは?計算式とその考え方

 

保有企業の成長率(売上高や営業利益、配当など)を知ることは重要です。

 

企業分析にもいろいろなアプローチがありますが、私は企業分析を行う際にこの「成長率(CAGR)」を重視します。なお、成長率の計算は単利ではなくて複利の計算です。

 

複利計算によって求めた成長率のことをCAGRと呼びます。

 

単利と複利

 

単利とは、元本に対してのみ利回りが積み重なっていくものです。たとえば、元本が100万円で月利回りが1%の場合、毎月100万円に対して1%の1万円がもらえます。1月目に1万円、2月目にも1万円と言った具合です。

 

一方、複利は元本と利子を足し合わせた数値に対して利回りが積み重なっていくものです。上の例で言えば、1月目は100万円に対して1%の利回りで101万円、2月目は101万円に1%の利回りで102.01といった具合になります。

 

成長率(CAGR)の計算式

 

CAGR=(n年度の数字÷初年度の数字)^{1÷(n-1)}−1

 

となり、この式にわかっている数字を代入していくことで成長率を計算することができます。

 

この式を使用することで、保有株であったり投資候補の企業の年間平均成長率の算出が可能です。基本的に、エクセルで計算式を打ち込んで算出できます。

 

ちなみに私の場合は、下記のような企業分析シートを用意し、企業分析を行っています。

 

 

上で紹介した計算式を打ち込んでも良いのですが、XIRR関数を使って計算することも可能です。詳しくはオフィスソフトのサポートサイトで解説されているので、そちらを参考にしてみて下さい。

 

また、手軽に計算できるサイトもあるので、そちらを利用しても良いでしょう。

 

 

現在価値のところに過去の数値を入れ、将来価値のところに現在の数値を入れれば成長率の計算を行うことができますのでぜひ利用してみてください。

 

また、この成長率を使って計算できるのがPEGレシオという指標です。一度企業分析に使ってみてはいかがでしょうか。

 

通常の指標では割高に思える株でも、成長率を加味すると割安、ということもあります。

 

⇒ PEGレシオとは?計算式とその考え方

 

CAGRで注意すべきポイント

 

CAGRを扱う上で、注意しておきたいポイントについてご紹介します。

 

CAGRは計算期間によって変化する

 

当然ですが、計算に使用する期間の取り方で数値は大きく変動する可能性があります。

 

特に景気敏感株では数値が大きくぶれるため、全面的にこの指標を信じるのは勘違いを生む原因になりかねません。

 

あくまで過去の数値である

 

銘柄分析にあたって、CAGRを知ることは非常に重要です。この数値のみで投資判断を下すのは危険ですが、検討材料の核となることに違いはありません。

 

特にインカムゲイン投資であれば、配当がどれくらいのスピードで成長しているのかを知ることは重要でしょう。

 

また、その成長を支えている要因を売上高であったり利益率で見て検討し、今後その要因が継続するのか、さらに配当を大きくすることができるのかなどを見ていくきっかけにもなります。

 

ただ、あくまで参考にする程度にしたほうが賢明だといえます。上でも書いたように、数字は過去のものですし、計算期間の取り方次第で大きく数字が変わりますからね。


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