ROIC(投下資本利益率)とは?ROICの計算式とその目安・考え方
ROIC(投下資本利益率)とは、投下資本に対する利益率のことです。こう聞くとなんだか難しいですよね。
実際理解するのが難しく、私自身株式投資を長らくやっていますが避けて通ってきた指標です。ただ、食わず嫌いもよくないので勉強してみました。
ROICの計算式
どういった指標なのか詳しく説明する前に、まずは計算式から見ていきましょう。計算式から見た方がイメージがつきやすいですからね。
ROIC=NOPAT(税引き後純利益)÷投下資本(IC)
と言う計算式です。なお税引き後純利益の部分については、営業利益に税率(一般的に40%)を掛け合わせたものを利用することもあります。
これだけ聞くと何がなんだかよくわかりませんので、もう少し説明します。
まずNOPATですが、カッコ書きしてあるように税引き後の純利益です。
次に投下資本(IC)ですが、これは自己資本と有利子負債を足し合わせたものです。または、資産ベースで考えて、「固定資産+運転資金(売上債権+在庫−支払債権)」とすることもあります。
ROICとは何を知るための指標なのか
ROICとは、効率的に利益を上げられているのかを知るための指標です。どれくらいのお金を使っていくらの利益が上げられているのか、と言い換えることもできます。
この指標と似た指標で言いますと、ROE・ROAがありますね。ROEとROAの間にあるのがROIC、というイメージです。
ROEとROICの違い
ROEは税引き後純利益÷自己資本で計算できる指標で、ROICと比べて有利子負債部分が含まれていません。
つまり、ROEは株主から集めてきたお金でどれくらい稼いでいるか、ROICは株主から集めたお金と利子ありでの負債を投下してどれくらい稼いでいるのか、を知るための指標です。
有利子負債が0であれば変わりはないのですが、有利子負債がある場合は数値が異なってきます。また、分子に使う数値も異なることがあるので、注意してください。
ROAとROICの違い
ROAは税引き後純利益÷総資産で計算できる指標で、ROICは負債部分の余計なものを取り除いた指標とも言えます。
ではなぜ負債の項目にある売掛金などを抜くのかと言いますと、利益を稼ぐための資産とはならないからです。
そうした負債を除き、純粋に利益を稼ぐために投下した資金で計算することで実態を反映させようとするのがROICと言うことになります。
ROICを株式投資で活用するのはどうか
ROICを使えば、より実態に即した分析ができると言うことですね。ただ、個人的にはROE・ROAで十分かなと思っています。
株式投資は細かな数字を追うことも大切ですが、ある程度大雑把に把握しておけば問題ないというのが私の結論です。とはいったものの、ROICを使って細かく分析できるのであれば、それに越したことはありません。
大切なのは、それぞれの指標の意味を知り、自分の目的に合わせて使っていくことです。
ROICの目安
人によって計算に使う数字が違ったりするため、一概には言えませんが、基本的に15%以上あれば魅力的かなと言ったところ。
ROICを重視している企業
いろいろ探しているときにROICを重視している企業があったのでご紹介します。
川崎重工業株式会社が「企業価値の向上にむけて〜Kawasaki - ROIC 経営〜」と言う資料を出しているので参考にしてみてください。
またそのほかに、体温計などで有名なオムロンもROICを重視した経営を行っているようです。
ROICを投資に使うならGMOクリック証券がおすすめ
ROICを投資で利用したい、企業分析で利用したいのであればGMOクリック証券株式会社の経営分析ツールを使うのが楽です。
このツールでは、下記のようにROICツリーを視覚的に確認することができます。
これが結構便利で、手軽に本格的な企業分析ができるので気に入っています。
その他にも、最大で過去10年分の損益計算書や貸借対照表の推移をグラフで確認することもできるんです。
GMOクリック証券株式会社に口座を持っていればだれでも利用可能なので、口座の開設を検討してみて下さい。
関連ページ
- ファンダメンタルズとは?
- ファンダメンタルズとは?
- 収益から見た割安度|PER
- 収益から見た割安度|PER
- 資産から見た割安度|PBR
- 資産から見た割安度|PBR
- 業種別PER・PBRの調べ方
- 業種別PER・PBRの調べ方
- 個別株のPERの時系列データ・推移の調べ方
- 個別株のPERの時系列データ・推移の調べ方
- ROEとROAの違いは?計算式とその考え方
- ROEとROAは似ている指標であり、どっちがどっちか混乱することもあるでしょう。そこで、ROEとROAの計算式を元にその違いや、扱い方についてご紹介します。
- EV/EBITDA倍率の計算式とその考え方
- EV/EBITDA倍率は、株式投資で企業分析を行う際に有用な指標です。ただ、ややわかりづらい部分があるので、本記事ではEV/EBITDA倍率の計算式とその考え方についてご紹介します。
- 株価キャッシュフロー倍率(PCFR) とは?
- 株価キャッシュフロー倍率(PCFR) とは?
- PEGレシオとは?計算式とその考え方・使い方
- 投資指標の一つであるPEGレシオについて解説しています。
- PSR(株価売上高倍率)とは?計算式とその考え方
- PSR(株価売上高倍率)とは?計算式とその考え方
- 年平均成長率(CAGR)とは?計算式とその考え方
- 年平均成長率(CAGR)とは?計算式とその考え方
- 配当利回りとは?配当利回りの計算式とその目安・考え方
- 配当利回りとは?配当利回りの計算式とその目安・考え方
- 配当性向とは?配当性向の計算式とその目安・考え方
- 配当性向とはどういった指標なのか?計算式からどういった指標なのかを解説。また、配当性向の目安、どういった考え方で利用すれば良いのかをご紹介します。
- 配当性向の平均はどれくらい?
- 配当性向の平均はどれくらい?ここでは、配当性向の市場平均の計算方法について解説しています。
- 純資産配当率(DOE)とは?計算式とその考え方
- 純資産配当率(DOE)とは?計算式とその考え方
- フリーキャッシュフローとは?
- フリーキャッシュフローとは?
- 有価証券報告書で確認できること【企業の概況】
- 有価証券報告書で確認できること【企業の概況】
- 有価証券報告書で確認できること【事業の状況】
- 有価証券報告書で確認できること【事業の状況】
- 有価証券報告書で確認できること【設備の状況】
- 有価証券報告書で確認できること【設備の状況】
- 有価証券報告書で確認できること【提出会社の状況】
- 有価証券報告書で確認できること【提出会社の状況】
- 有価証券報告書で確認できること【経理の状況】
- 有価証券報告書で確認できること【経理の状況】
- 売上高対営業利益率で利益を出せる体質か推察する
- 売上高対営業利益率で利益を出せる体質か推察する
- 【長期投資家向け】財務諸表の構成で押さえておきたいポイント
- 【長期投資家向け】財務諸表の構成で押さえておきたいポイント
- 最低限押さえておきたい!貸借対照表(バランスシート)の読み方の基本
- 最低限押さえておきたい!貸借対照表(バランスシート)の読み方の基本
- 最低限押さえておきたい!損益計算書の読み方の基本
- 最低限押さえておきたい!損益計算書の読み方の基本
- 最低限押さえておきたい!キャッシュフロー計算書の読み方の基本
- 最低限押さえておきたい!キャッシュフロー計算書の読み方の基本
- 長期投資で使う投資指標の基本
- 長期投資で使う投資指標について解説します。
- 粉飾決算の見分け方・見破るために押さえておきたいポイント
- 粉飾決算の見分け方・見破るために押さえておきたいポイント