EV/EBITDA倍率の計算式とその考え方
EV/EBITDA倍率とは、会社の値段を考える方法の一つです。投資家目線で言えば、割安か割高かをはかるための指標だといえます。
PERやPBRはなんとかわかるけど、EV/EBITDA倍率がどういったものなのかはよくわかっていないという人もいるでしょう。
なのでここでは、EV/EBITDA倍率とはどういったものなのかその計算式や扱い方をご紹介します。まずはEVとEBITDAについてそれぞれ見ていきましょう。
EVとは
EV=株式時価総額+ネット有利子負債(有利子負債−現金および現金同等物)
で計算されます。企業価値と表現して問題ないでしょう。
買収するにはその会社の時価総額分が必要になりますし、有利子負債も支払っていく必要があります。
また、現金および現金同等物があればその分有利子負債の返済に充てられるので、有利子負債から現金および現金同等物を引きます。
EBITDAとは
金利、税、減価償却前利益とも呼ばれますが、計算式は以下の通りです。
EBITDA=営業利益+減価償却費
で計算されます。本業の稼ぎを表す営業利益と、実際の現金の支出がない費用である減価償却費(キャッシュフロー計算書で確認可能)を足し合わせたものです。
現金収入がどれくらいあるのか、ということを知ることができます。
じゃあEV/EBITDA倍率って何?
計算式は、「EV÷EBITDA」です。
EV÷EBITDA={株式時価総額+ネット有利子負債(有利子負債−現金および現金同等物)}÷{営業利益+減価償却費}
企業を買収したと考えた場合、その金額を何年分のキャッシュフローで賄うことができるのか?を知るための指標と言えます。簡易買収倍率とも呼ばれます。
EVは買収価格であり、EBITDAは会社が稼げる能力(金額)ということですね。では、この倍率は何倍が適当なのでしょうか?
EV/EBITDA倍率の目安
はっきりとした決まりがあるわけではなく、また市場環境によっても異なるのですが、一般的には5倍を下回っていれば割安と考えられています。
なお平均的には約7-8倍となっており、10倍を超えてくるようですと割高感が意識されるところ。ただしあくまで目安であって、同業他社などと比較することが大切です。
投資判断に使うのはどうか
このEV/EBITDA倍率は機関投資家に好まれている指標ですが、個人投資家であっても投資判断をするための材料の一つとして使うのはありです。
計算がやや小難しいところはありますが、計算に使う数字は決まっているので迷うことはありません。また、証券会社によっては各企業のEV/EBITDA倍率を確認することができます。
ちなみに、この指標は楽天証券に口座を開いていれば指標の欄で確認することができるので、利用してみて下さい。
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